昨日と同じく、「基礎から学ぶ SEの会計知識」からの話題。
p214,管理会計の第2部 短期的意思決定から
「例題2 A社では、ここのところ開発担当者の人手不足が続いており、ソフトの需要があるにも関わらず、開発案件の受注は控えている状況である。サーバーの運用業務をアウトソーシングすれば、これまで運用を担当していた正社員を開発業務に振り向けられる。こうすることで、資産では1時間当たり換算で25千円の売り上げ増加を期待できる。この条件のとき、A社はサーバーの運用をアウトソーシングすべきだろうか。」
で、アウトソーシングした場合としなかった場合の費用は昨日の例題1と同じ。
つまり、
自社運用:100千円/時間
アウトソーシング:70+50=120千円/時間
で、これに配置転換を計算に加えればいい。
これに対する解答はアウトソーシングすべき!である。
その理由は、アウトソーシングする場合は25千円/時間の売上が入るので費用から引くことができ、120-25=95千円/時間となり、
自社運用の100千円/時間よりも安くなるためだ。
ここからわかるのは、固定費用はなるべく有効活用するべきということである。
昨日の話だと、正社員もすぐにはクビを切れないので人件費が固定費となる、という話だった。
「人のクビを切らない、古き良き日本企業」を守るためには、転勤やら部門の転換やらの配置転換が必要であったというのも、なかなかうなずける話だ。
(配置転換が売上に繋がるかどうか、という判断はどうやってするんだろう? このあたり僕にはよくわからない)
反面で、必要な能力を持った人材を調達するのに、企業の外部の市場からではなく、内部の正社員を従わせてきたので、職掌が明確になっていないのだろう。
SIerにおいて人の稼働率が重要になる、というのもここら辺りに起因するところだろう。
みんな正社員だから、経営の側から見ると固定費用で、死ぬほど活用しないといけない。SEが長時間労働というのも何となくわかる。
ただ、これは僕のような未熟な労働者にとってはある意味で歓迎する事態だ。技能というものが経験を得ることで高まるのなら、稼働率を上げることが僕にとっても得になる。
そして、十分に技能が高まったなら、そうしたところから離れて、成果に応じた給与を得られるように転職する、ということもありだろう。
ちょっと話がそれてプリンシパル・エージェンシー理論の方に寄ってしまった。
まあ、日本企業の雇用システムのあたりは、こういう本を読んでみるのも良いかも。